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白玉だんごの一首・結社誌「塔」掲載歌


選者の皆さんの敬称は省略させていただいております。m(_ _)m
赤字は、未掲載の作者注、または掲載時に選者が手を入れた(と推測される)部分です。






2005年10月号 選者:吉川宏志

*小学生の朝の仕事にもはや無き勤めの父の革靴磨き

*誤配多き新聞店を替えたれどまた届き来る見慣れし紙面

*おんなには赤き襁褓の日のあるを乳房まだ無き少女に語る

*前輪で寄り添い眠る大小の自転車もあり夜の置場に

*わが歌も解釈さるるか産みし子に被害加害の肩書つけば

*すれ違う自動車の影ひょいと跳び街道を帰るランドセルたち



2005年9月号 選者:真中朋久

*前歯二本下の犬歯も二本抜け笑う七歳ホチキスの口

*右上からボールが壁に跳ね返るあの字が「K」かと七歳が問う

*読み札の節回しにて分かち書きなき短歌読み子はうなずきぬ

*結び髪の雫散らして駆け抜ける透けたピンクの水泳バッグ

*露天湯にあめんぼの居て子供らに追われふわりと跳ねて逃げたり

*サンドレスサンダル水着普段着と子の服がみな縮むこの夏



2005年8月号 選者:栗木京子

*五歳児は力説したり草取りは取るにやあらず草抜きなりと

*まくしたて叱る母見て理を知ると六歳母の日の感謝の辞に書く

*中腰で覗くポストに遅配なき「塔」は待ちり裏返しにて

*ごぷごぽとひとつげっぷを終えたのち静もりてゆく水洗トイレ

*忌憚なき評求めしがねぎらいと褒め言葉満つる縫い物の会



2005年7月号 選者:花山多佳子

*登りたき駅階段のわが先に剣道具持つ紺の集団

*恩師からの賀状は変わらぬ青インク通信簿より二十年経て

*朗々と『孫』歌うひとまたもあり白髪揺らしのど自慢にて

*母牛の後追う子牛を丘に見る乳ぬすびとたるわれら人間

*室内で傘振り回す甘えたき六歳棚を上手く避けおり



2005年6月号 選者:池本一郎

*「安全な」全身遊びの空間で子が触るるものみな樹脂で成る

*摘む人の無き茶畑の畝かすみ斜面貫くリフト動かず

*うず高く夢のぬけがら積まれいる聖夜の朝のごみ集積所

*高校の剣道場のにぎわいがこもりて聞こゆ歩道を越えて

*海外で通じぬマナー場所取りの傘や上着は盗まるるのみ



2005年5月号 選者:澤辺元一

*谷川に響く鳥の音虫の音をまたかき消して幼は泣きぬ

*小学生の居らぬ社会に日々孵化す下校時刻の門より子らは

*「あづさゆみ」に引かれし蛍光色褪せてもらい受けたる姉の古語辞書

*山頂の岩のごと子の頭ありてケープに落ちる切り髪の音

*ぬばたまの十万本の髪の束泡すすがれて光を受ける



2005年4月号 選者:吉川宏志

*授業中「過酸化水素」とつぶやけばそっと落葉を踏む音がした

*四方よりこたつを囲む幸遠く拉致被害家族また年を越し

*「製造の責任者ゆえ誕生日を祝う」と父より長距離電話

*乳母車来てすれ違う遊歩道何か言わねば笑顔向けねば

*大声を泣かず力んでしぼり出す横隔膜を持て余し子は



2005年3月号 選者:池本一郎

*同好の士らが集いて歌だけを話題に四時間飛ぶように過ぐ

*しょくにくやそじじじえいと耳慣れぬ用語共有しうる喜び
(初句二句)(措辞)(時事詠)              

*わが歌への評価指摘をまとめれば推敲もときに蛇足と学ぶ

*母または妻と呼ばるる日常を離れ歌会で「わたし」息づく

*横顔と歌のつながる友を得て結社誌開く楽しみの増す

*佳き歌は描く世界が味わわれ下手なら措辞が取り沙汰される



2005年2月号 選者:澤辺元一

*言の葉を練らず字引さえも持たず生みしわが歌千六百首

*店頭でわが名を見つけ短歌誌をレジに差し出す手の震えおり

*目に入る一から十まで歌にした数週前の勢いいずこ

*歌のため日々書き留める単語帳やまとことばの海まだ広し



2005年1月号 選者:澤辺元一

*子の髪を梳きととのえて共に寝るわが黒髪にかわく間もなし

*「おじゃる丸みたいな人」と子の指すは祝詞をあげる宮司なりけり

*マグ持てばくちびるが知る欠けのあり給湯室に置かれし日遠く

*日焼け止めをハンドクリームに入れ替えて葡萄酒色のバッグの季節



2004年12月号(新入会員自己紹介に添えた歌)

*ビギナーズラックも過ぎて奥深さ知り始めたる短歌の世界


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